
夜勤の現場で「急変」に直面したとき、看護師が感じる不安や恐怖は決して特別なものではありません。実際、多くの看護師が「夜勤中の急変が一番怖い」と口を揃えています。
夜間はスタッフが少なく、医師や先輩のサポートも限られた中で、患者さんの命に関わる判断や対応を一人で担う場面が増えます。
新人・ベテランにかかわらず、急変対応は常に緊張とプレッシャーが伴い、「自分に本当に対応できるのか」「万が一の時にどうすればいいのか」と不安を抱えている方がほとんどです。
この記事では、夜勤中の急変がなぜこれほど怖いのか、その正体に向き合いながら、不安を和らげるためのヒントや、限界を感じたときに選べる“辞める”という選択肢まで、看護師のリアルな声とともに解説します。
「怖い」と感じる自分を責めず、あなた自身の心と体を守るためのヒントを見つけてください
なぜ夜勤の急変が怖いの?【看護師のリアルな声】
夜勤って急変が起こりやすい勤務帯ですよね。私も現役ナースのとき、夜勤に入る前は「今日は何もありませんように」と願いながら出勤したのを記憶しています。
ここでは、夜勤の急変が怖いリアルな理由を紹介します。
1. 少人数・限られたリソースでのプレッシャー
夜勤は日勤と比べてスタッフの人数が圧倒的に少なく、複数の患者を同時に担当することも珍しくありません。
急変が発生した際、応援を呼ぼうにもすぐに人手が確保できず、限られたメンバーで対応しなければならない場面が多いのが現実です。
ナースコールが重なったり、他の患者のケアも同時進行で求められる中、「自分が動かなければ誰も助けてくれない」という強いプレッシャーにさらされます。
こうした状況では、判断や行動のすべてを一人で担う責任感が重くのしかかり、精神的な負担が大きくなります。
2. 急変時の責任の重さと緊張感
急変対応は、患者の命に直結する重大な場面です。夜間は医師や他職種のサポートがすぐに得られないことも多く、看護師自身が迅速な判断と対応を迫られます。
一つの判断ミスが患者の生死に関わるため、「絶対に間違えられない」という強い緊張感と責任の重さが常に付きまといます。
特に、急変が予測できないケースでは、いつ何が起こるか分からないという不安も加わり、精神的なストレスが増大します。
3. 経験不足や知識への不安
夜勤の現場では、急変対応の経験や知識が十分でないと「自分で本当に対応できるのか?」という不安が強くなります。
新人や若手看護師はもちろん、ベテランでも新しい症例や想定外の事態に直面すると戸惑いを感じるものです。
マニュアル通りにいかない現場で、臨機応変な対応が求められるプレッシャーは大きく、知識や技術への自信のなさが「怖い」という感情につながります。
4. サポートが得られない孤独感
夜勤中は、相談できる先輩や医師がすぐそばにいないことが多く、急変時に「自分しかいない」という孤独感に襲われます。
応援要請をしてもすぐに駆けつけてもらえないことや、他のスタッフも手一杯で頼れない状況も珍しくありません。
何かあったときに一人で判断しなければならない心細さや、「本当にこれでいいのか」と迷いながら行動する不安が、夜勤の急変をより一層怖いものにしています。
夜勤の急変が怖いとき、どう乗り越える?
どうしようもない事情がないかぎり、夜勤を避けるのは難しいですよね。急変はその名の通り、いつ起こるかわからないトラブルです。
ここでは、夜勤の急変が怖いときの乗り越え方について紹介します。
急変対応の知識・シミュレーションを積む
夜勤中の急変に備えるには、定期的な勉強やロールプレイが非常に重要です。急変時は迅速な評価と応援要請、一次・二次評価といった基本的な流れを体で覚えておくことが求められます。
実際の現場を想定したシミュレーションを繰り返すことで、いざという時の判断力や行動力が身につき、不安の軽減につながります。また、急変のサインや症状別の対応法を日頃から確認しておくことも、現場での冷静な対応に役立ちます。
チームでの情報共有と連携強化
夜勤前の申し送りや、患者情報の共有をしっかり行うことで、急変時の対応がスムーズになります。夜間は人手が限られているため、事前に患者のリスクや注意点をチーム全体で把握しておくことが大切です。
また、急変時にはI-SBAR-Cなどのフレームワークを使って、医師や応援スタッフに簡潔明瞭に状況を伝えることもポイントです。日頃からコミュニケーションを密にし、いざという時に役割分担や応援要請がしやすい環境を作っておきましょう。
「怖い」と感じる自分を責めない
急変が怖いと感じるのは、決して特別なことではありません。新人だけでなく、ベテラン看護師でも不安や緊張を抱えるのは自然なことです。
大切なのは、「怖い」と感じる自分を否定せず、誰もが同じような気持ちを持っていることを知ること。無理に強がらず、必要な時は周囲に助けを求めたり、気持ちを言葉にして共有することで、精神的な負担が軽くなります。
心身のセルフケアとリフレッシュ
夜勤のストレスや緊張を和らげるためには、日頃から心身のセルフケアを意識しましょう。十分な睡眠やバランスの良い食事、こまめな休息を心がけることで、体力と集中力を維持できます。
また、勤務外では趣味や運動、リラックスできる時間を持つことでストレス発散につながります。自分なりのリフレッシュ方法を見つけて、心と体の健康を守ることも、夜勤の急変を乗り越える大切なポイントです。
看護師が夜勤の急変が怖くて“辞めたい”と思ったときの選択肢
夜勤の急変が怖くて、「仕事に行きたくない」「仕事を辞めたい」と考える看護師さんは案外多く、我慢しながら働いている人もいるでしょう。
ここでは、“辞めたい”と思ったときの選択肢について紹介します。
配属や働き方を変える(夜勤専従→日勤・外来など)
夜勤の負担が大きいと感じたら、まずは配属や働き方の変更を検討するのも一つの方法です。日勤のみや外来勤務、訪問看護、美容クリニックなど、夜勤のない職場に異動・転職することで生活リズムが安定し、心身の負担も軽減できます。
今の職場で異動希望を出したり、転職エージェントを活用して新しい働き方を探す看護師も増えています。
信頼できる人や専門家に相談する
一人で悩みを抱え込まず、同僚や家族、信頼できる先輩に気持ちを打ち明けてみましょう。話すことで気持ちが整理され、具体的なアドバイスをもらえることもあります。
また、外部のカウンセラーや看護協会の相談窓口など、専門家のサポートを利用するのも有効です。第三者の視点を取り入れることで、自分では気づかなかった選択肢が見えてくることもあります。
退職やキャリア移行も「自分を守る選択肢」
どうしても夜勤や急変対応がつらい場合は、退職やキャリアチェンジも「自分を守るための正当な選択肢」です。最近では、退職代行サービスや転職支援を利用してスムーズに職場を離れる看護師も増えています。
美容クリニックや日勤のみの職場など、看護師資格を活かせる新しい道も多数あります。無理をせず、自分の心と体を大切にできる環境を選びましょう。
まとめ
夜勤中の急変が怖いと感じるのは、ごく自然なことです。不安やストレスを抱えている自分を責める必要はありません。必要であれば、思い切って環境を変える勇気も大切です。
「辞める」ことも含めて、あなた自身の心と体を守る選択肢が必ずあります。
Wrote this article この記事を書いた人

あゆ
元ナース・保健師のあゆ。 元看護師・保健師で、転職5回を経て現在はフリーランスとして活動中! 看護師として働く中で、悩み続けて1年かけて退職した経験があります。その過程で、退職を切り出す難しさや、退職後のキャリアへの不安を痛感しました。 『ナースの退職お悩み相談室』では、退職を考える看護師の方々に役立つ情報や、退職代行サービスの活用法、退職後のキャリアプランなどを発信しています。皆さんが一歩踏み出すお手伝いができれば嬉しいです。