
「退職を考えているけど、1ヶ月前に伝えるのは非常識かな?」
「職場に迷惑をかけずに辞めたいけど、どのタイミングがベストなの?」
看護師として働く中で、退職のタイミングに悩む方は非常に多いのではないでしょうか。病院によっては「3ヶ月前には必ず申し出を」と言われることもあり、1ヶ月前の申し出が非常識に感じられる場合もあるでしょう。
しかし、実際のところ、法律上は退職を1ヶ月前に伝えても何の問題もありません。大切なのは、職場の状況に配慮しながら、適切な伝え方とタイミングを選ぶことです。
この記事では、看護師が退職を1ヶ月前に伝えることの是非と、円満退職を実現するための具体的なコツを詳しく解説します。
看護師が退職を1ヶ月前に伝えるのは非常識?
結論から言うと、退職を1ヶ月前に伝えることは決して非常識ではありません。ただし、法律と職場のルール、そして看護師という職業の特性を理解した上で判断することが重要です。
法律上は2週間前に伝えれば退職できる
民法第627条では、期間の定めのない雇用契約(正社員など)については、「いつでも解約の申入れをすることができ、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定められています。
つまり、法律上は退職の意思を2週間前に伝えれば、雇用契約を終了させることができるのです。これは看護師であっても例外ではありません。
厚生労働省の労働基準法においても、労働者の退職の自由は保障されており、使用者が退職を拒否することはできません。
就業規則では「1〜3ヶ月前」が一般的
一方で、多くの病院や医療機関の就業規則では、退職の申し出時期を「1ヶ月前まで」「2ヶ月前まで」「3ヶ月前まで」と定めているのが実情です。
これは、看護師という職種の特性上、引き継ぎや人員の補充に時間がかかることを考慮したものです。特に専門性の高い部署や、指導的立場にある看護師の場合、後任の確保や業務の引き継ぎに相当な時間を要することがあります。
ただし、就業規則で定められた期間は「努力目標」的な性格が強く、法的な拘束力は限定的です。合理的な理由なく退職を阻止することはできません。
退職のタイミングについてより詳しく知りたい方は、「【看護師】退職は何ヶ月前が正解?1・2・3ヶ月前の違いは?法律/就業規則/メリットから解説」も」チェックしてみてください。

私の最初の職場では「3ヶ月前に申し出」が就業規則でしたが、実際には引き止められることも多く、退職に半年以上かかっている同僚が多かったです。
病院の人手不足・繁忙期は1ヶ月前だと非常識と思われやすい
看護師不足が深刻な現在、多くの医療現場では慢性的な人手不足に悩まされています。日本看護協会の「2023年 病院看護実態調査」によると、看護職員の離職率は11.6%と高い水準にあり、新卒看護師の離職率も8.2%となっています。
このような状況下では、1ヶ月前の退職申し出が「急すぎる」「配慮が足りない」と受け取られることもあります。特に以下のような時期は注意が必要です。
- 年度末・年度始め(3月〜4月)
- 夏季休暇前(7月〜8月)
- 年末年始前(12月)
- インフルエンザなどの感染症流行期
これらの繁忙期は、ただでさえ人員のやりくりが困難な時期のため、1ヶ月前の申し出だと職場に大きな負担をかけてしまう可能性があります。
退職を1ヶ月前に伝えるときの注意点
1ヶ月前の退職申し出でも円満に進めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
できるだけ早めに直属の上司に伝える
退職の意思が固まったら、可能な限り早い段階で直属の上司(師長など)に相談しましょう。朝礼や業務終了後など、落ち着いて話ができるタイミングを選んで、まずは「ご相談があります」と時間を取ってもらいます。
伝える順序は非常に重要です。同僚や他部署の人に先に話してしまうと、噂として上司の耳に入り、信頼関係を損なう恐れがあります。
また、退職理由について詳しく聞かれることもありますが、「一身上の都合」で十分です。プライベートな事情まで詳細に説明する必要はありません。
退職理由はシンプルかつ前向きに伝える
退職理由を伝える際は、職場の不満や人間関係の問題を持ち出すのは避けましょう。たとえ事実であっても、ネガティブな理由は相手を不快にさせ、円満な退職を妨げる可能性があります。
以下のような前向きな理由を用意しておくと良いでしょう。
- 「キャリアアップのため」
- 「家庭の事情で」
- 「新しい分野にチャレンジしたい」
- 「一身上の都合により」
大切なのは、退職の意思が固いことを明確に伝えることです。曖昧な表現は期待を持たせてしまい、後々のトラブルの原因となります。
引き継ぎ計画を具体的に準備しておく
1ヶ月という限られた期間で円満に退職するためには、具体的な引き継ぎ計画を事前に準備しておくことが不可欠です。
以下の項目を整理しておきましょう。
- 担当患者の情報と特記事項
- 継続中の看護計画や処置内容
- 委員会活動や研修の進捗状況
- 後任への申し送り事項
- 必要な書類や資料の整理

患者さんの特性や注意点、薬剤の管理方法など、細かい部分まで文書化しておくと、後任の方にも喜ばれますし、自分も安心して退職できます。
1ヶ月前に退職を伝えたときによくあるトラブルと対処法
1ヶ月前の退職申し出では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。事前に対処法を知っておくことで、冷静に対応できるでしょう。
引き止めや強い説得を受けたときの対応
「人手不足だから困る」「あなたがいないとチームが回らない」といった引き止めは、看護師の退職時によくあるケースです。このような場合は、感謝の気持ちを示しつつも、退職の意思が固いことを明確に伝えましょう。
「お気持ちはありがたいのですが、よく考えた結果の決断です」
「○月○日での退職をお願いします」
「引き継ぎはしっかりと行います」
情に訴えられても、一度決めた退職の意思を曲げる必要はありません。むしろ、曖昧な態度を取ると、さらに強い引き止めに遭う可能性があります。
強い引き止めにあった時の具体的な対処法については、「看護師が退職でトラブルに巻き込まれたら?引き止め・嫌がらせの対処法」も参考にしてください。
退職日を引き伸ばされたときの対処法
「せめてあと1ヶ月延ばせないか」「新人が入るまで待ってほしい」など、退職日の延期を求められることもあります。しかし、既に転職先が決まっている場合や、個人的な事情がある場合は、安易に応じるべきではありません。
延期要求に対しては以下のように対応しましょう。
- 就業規則を確認し、正当な手続きを踏んでいることを説明
- 法律上、2週間前の通知で退職できることを伝える
- 引き継ぎ期間として1ヶ月は十分であることを主張
- 個人的な事情(転職先の入社日など)を説明
どうしても話し合いが進まない場合は、労働基準監督署や看護協会の相談窓口に相談することも検討しましょう。
どうしても難しい場合は退職代行を検討する
上司との関係が悪化している、強いハラスメントを受けている、精神的に限界を感じているなど、自分では退職の意思を伝えることが困難な場合は、退職代行サービスの利用も選択肢の一つです。
退職代行サービスでは、あなたに代わって退職の意思を伝え、必要な手続きを行ってくれます。看護師の場合、以下のような状況で利用される方が多いです。
- パワハラやいじめで精神的に追い詰められている
- 上司に退職を相談しても取り合ってもらえない
- 職場の雰囲気が悪く、退職を言い出せない
- 有給休暇の消化を拒否されている
詳しくは、看護師向け退職代行サービスおすすめランキングを読んでみてください。
円満に退職するための工夫
可能であれば、より円満に退職するための工夫も考えてみましょう。
余裕があれば2〜3ヶ月前に伝える
時間的に余裕がある場合は、2〜3ヶ月前に退職の意思を伝えることで、より円満な退職が期待できます。
これにより以下のメリットがあります。
- 後任の確保や引き継ぎに十分な時間が取れる
- 職場への影響を最小限に抑えられる
- 上司や同僚との関係を良好に保ったまま退職できる
- 有給休暇の消化もスムーズに進めやすい
ただし、早めに伝えることで引き止めが長期化したり、職場での居心地が悪くなったりするリスクもあるため、職場の雰囲気を見極めて判断することが重要です。
退職のタイミングについて詳しく知りたい方は退職は何ヶ月前が正解?1・2・3ヶ月前の違いは?も参考にしてみてください。
感謝の気持ちを言葉や態度で伝える
退職を伝える際は、これまでお世話になった感謝の気持ちを必ず伝えましょう。
「○年間、多くのことを学ばせていただきました」
「皆さんと一緒に働けて本当に良かったです」
「ここで得た経験を今後も活かしていきます」
感謝の気持ちを示すことで、相手も気持ちよく送り出してくれる可能性が高まります。また、退職後も良好な関係を維持できるでしょう。
退職時にお菓子を配る場合のマナーについては、「【看護師退職】おすすめのお菓子7選と渡し方のマナー|失敗しない選び方ガイド」で詳しく解説しています。
一人で悩まず、専門家のサポートを受ける
退職に関する悩みや不安は、一人で抱え込む必要はありません。適切な専門家のサポートを受けることで、より安心して退職手続きを進めることができます。
相談できる専門機関には以下があります。
- 労働基準監督署
退職の妨害や労働基準法違反について相談できます。違法な引き止めや有給休暇の拒否などの問題に対して、適切な指導を受けることができます。 - 都道府県看護協会
看護師特有の悩みについて、同じ看護師の立場から相談に乗ってもらえます。退職時のマナーや業界の慣習についても詳しくアドバイスしてもらえるでしょう。 - 退職代行サービス
どうしても自分では退職を伝えることが困難な場合、退職代行サービスという選択肢もあります。あなたに代わって退職の意思を伝え、必要な手続きを進めてくれるため、精神的な負担を大幅に軽減できます。
詳しくは「看護師向け退職代行サービスおすすめランキング」をご参照ください。
一人で悩み続けることで、心身の健康を害してしまっては本末転倒です。適切なサポートを受けながら、自分にとって最良の選択をしていきましょう。
まとめ
看護師が退職を1ヶ月前に伝えることは、法律上何の問題もありません。ただし、職場の状況や時期を考慮し、適切な配慮をすることが円満退職への鍵となります。
重要なポイントをまとめると以下の通りです。
- 法律上は2週間前の通知で退職可能
- 就業規則の期間はあくまで目安
- 引き継ぎ計画をしっかり準備する
- 感謝の気持ちを忘れずに伝える
- 困った時は専門家に相談する
退職は人生の重要な決断です。自分の健康と将来を第一に考えて、無理のない範囲で円満な退職を目指しましょう。

退職は勇気のいる決断ですが、適切な準備と配慮があれば必ず乗り越えられます。私も何度か転職を経験しましたが、どの職場でも感謝の気持ちを大切にすることで、良い関係を保ったまま退職できました。あなたの新しいスタートを応援しています!
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Wrote this article この記事を書いた人
ぽー
看護師・保健師・養護教諭資格あり。 転職経験は3回で、現在はフリーランスとして活動中です。急性期から退院支援、外来などさまざまな部署で看護の仕事をしてきました。 子育てと仕事との両立に悩み、ライフステージの変化に応じて働き方を変えていった経緯があります。 働き方に悩む看護師が、より自分らしく働くために役立つ情報を発信していきます。