
「夜勤明けで帰ってきたら、子どもが熱を出していた」「保育園からの呼び出しで、また職場に迷惑をかけてしまった」「家事も育児も仕事も…もう全部が限界」
子育てをしながら看護師として働くことは、想像以上に大変なことです。責任の重い仕事と、待ったなしの育児。その両方を完璧にこなそうとして、心も体も疲れ果ててしまっていませんか?
「辞めたい」と思う自分を責めて、「みんな頑張っているのに、私だけ甘えているのかな」と罪悪感を感じているかもしれません。
でも、大丈夫です。あなたは決して甘えていません。
この記事では、子育てと看護師の両立に限界を感じているあなたに向けて、以下の内容をお伝えします。
- 「辞めたい」と感じるのは甘えじゃない理由
- 辞める前に考えておきたいこと
- 子育て中の看護師におすすめの働き方
- 退職を決意したときの具体的なステップ
- 一度辞めても、また看護師に戻れる道
今のあなたに必要なのは、罪悪感ではなく、自分と家族を守るための選択肢を知ることです。
一緒に、あなたらしい働き方を見つけていきましょう。
子育てと看護師の両立がつらいと感じる瞬間
看護師として働きながら子育てをするのは、想像以上に大変なことです。患者さんのケアに全力を注ぎながら、家に帰れば母親としての役割が待っています。
「私だけがこんなにつらいのかな」と感じているかもしれませんが、同じように悩んでいる看護師ママはたくさんいます。
まずは、多くの看護師ママが「もう限界かも」と感じる具体的な瞬間について見ていきましょう。
夜勤・急な呼び出しで家庭との両立ができない
看護師の仕事は夜勤やシフト制が基本です。子どもが小さいうちは特に、夜中に起きることも多く、夜勤明けでも家事や育児が待っています。
夫が仕事で不在の日に夜勤が重なると、実家や託児所に頼らざるを得ません。でも、毎回お願いするのも気が引けますし、子どもも寂しそうにしていると心が痛みます。
さらに、急な欠勤や交代勤務の調整で呼び出されることもあります。保育園のお迎えの時間が迫っているのに「今日、もう少し残れない?」と聞かれたときの焦りや罪悪感は、経験した人にしか分からないつらさです。

残業で遅くに帰宅したとき、娘が「ママ、遅い・・」と泣きながら抱きついてきたことがありました。疲れ切った体で娘を抱きしめながら、「このまま続けられるのかな」と不安になりました。
子どもの体調不良で職場に迷惑をかけてしまう
子どもは急に熱を出すものです。保育園から「お迎えに来てください」と電話がかかってくると、心臓がドキッとします。
職場に連絡して早退や欠勤をお願いするたびに、「また?」という空気を感じることがあります。実際に言葉にされなくても、同僚の表情や雰囲気から伝わってくることもあるでしょう。
人手不足の現場では、一人が休むと他のスタッフに負担がかかります。そのことが分かっているからこそ、「申し訳ない」「迷惑をかけている」という罪悪感が積み重なっていきます。
家事・育児・仕事の全てを抱え込み、心身が限界に
朝は子どもを保育園に送り、急いで出勤。仕事が終わればお迎えに行き、帰宅後は夕食の準備、お風呂、寝かしつけ…。気づけば自分の時間はゼロです。
夫が協力的であっても、仕事で帰りが遅かったり、出張が多かったりすると、実質的にワンオペ育児になってしまいます。休日も家事や子どもの世話で終わってしまい、リフレッシュする時間が取れません。
「みんな頑張ってるんだから、私も頑張らなきゃ」と思いながらも、気づけば疲れが溜まり、イライラしてしまう自分に自己嫌悪を感じることもあるでしょう。
心身ともに限界を感じているのに、「もう少し頑張れるかも」と無理を重ねてしまうのが、真面目な看護師ママの特徴です。
「辞めたい」と感じるのは甘えじゃない
「辞めたい」と思う自分を責めていませんか? 「他のママは頑張っているのに、私だけ弱いのかな」「仕事から逃げているだけじゃないか」と自分を追い込んでしまう方は多いです。
でも、そんなことはありません。「辞めたい」と感じるのは、決して甘えではないのです。
看護師は責任が重く、家庭との両立が難しい仕事
看護師の仕事は、人の命に関わる責任の重い仕事です。ミスが許されないプレッシャーの中で、常に緊張感を持って働いています。
患者さんの急変対応、点滴管理、転倒防止…どれ一つとっても神経を使う業務ばかりです。さらに、立ちっぱなしの勤務や夜勤による生活リズムの乱れなど、体力的にも過酷な環境です。
夜勤明けでヘトヘトなのに、家に帰れば子どもが待っています。「ちょっと休ませて」と言いたい気持ちを抑えて、笑顔で向き合おうとする。そんな日々が続けば、心も体も限界を迎えてしまいます。
あなただけが特別に弱いわけでも、甘えているわけでもありません。看護師という仕事の特性と子育ての両立が難しいのは、構造的な問題でもあるのです。
罪悪感を持たずに、自分と家族を守る選択を
「患者さんに申し訳ない」「同僚に迷惑をかける」「辞めたら看護師失格なのでは」と、罪悪感を抱いてしまう気持ちはよく分かります。
でも、一番大切なのはあなた自身と家族の健康と幸せです。無理を続けて体調を崩したり、家族との時間が犠牲になったりしては、本末転倒です。
子どもはあっという間に大きくなります。今しかない貴重な時間を、罪悪感に苦しみながら過ごすのはもったいないことです。
自分と家族を守るために「辞める」という選択をすることは、決して逃げではありません。むしろ、勇気のある決断です。
辞める=終わりではなく、次のステージの始まり
看護師を辞めることは、キャリアの終わりではありません。一時的に離れて、子育てに専念したり、違う働き方を選んだりすることは、次のステージへの始まりです。
看護師の資格は一生ものです。子どもが大きくなってから、また看護師として働くこともできます。ブランクがあっても復帰支援制度を用意している病院も増えています。
また、看護師の経験は他の仕事にも活かせます。医療事務、保育園看護師、訪問看護、企業の産業看護師など、働き方の選択肢は意外と広いのです。
今は一旦立ち止まって、自分と家族にとって一番良い選択を考える時期なのかもしれません。
子育て中に看護師を辞める前に考えたいこと
「辞めたい」という気持ちが強くなったとき、すぐに行動に移す前に、少し立ち止まって考えてみることも大切です。辞めた後の生活や、他の選択肢についても冷静に検討してみましょう。
家庭・収入・将来をどうバランスを取るか
まず考えたいのは、辞めた後の経済的な面です。看護師の収入がなくなることで、家計にどのような影響があるのかをシミュレーションしてみましょう。
夫の収入だけで生活できるのか、貯金は十分にあるのか、子どもの教育費や将来の備えは大丈夫なのか。具体的な数字を出してみることで、現実的な判断ができます。
また、完全に辞めるのではなく、収入を減らしても働き方を変えることで続けられる可能性もあります。例えば、フルタイムからパートタイムに変更する、夜勤をなくすなどの方法です。
家庭と収入、そして将来のキャリアのバランスをどう取るかは、家族全体で考えるべき大切なテーマです。
夫や家族との話し合いでサポート体制を整える
一人で抱え込まず、夫や家族と率直に話し合うことが重要です。今どれだけつらいのか、どんな働き方をしたいのか、正直な気持ちを伝えましょう。
夫が家事や育児をもっと分担してくれることで、負担が軽くなるかもしれません。実家や義実家が近ければ、サポートをお願いできることもあります。
また、ファミリーサポートや病児保育といった地域のサービスを活用することで、急な対応にも柔軟に対応できる体制を作ることができます。
サポート体制が整えば、今の職場で働き続けることも選択肢の一つになります。
働き方を変えるだけで続けられるケースも
「辞める」という選択肢だけでなく、「働き方を変える」という選択肢も考えてみましょう。
例えば、今の職場で時短勤務や夜勤免除を相談することができるかもしれません。職場によっては、育児中のスタッフに対して柔軟な対応をしてくれるところもあります。
また、部署異動を希望することで、負担が軽くなることもあります。急性期病棟から外来や慢性期病棟へ異動するだけでも、働きやすさは大きく変わります。
まずは上司に相談してみることから始めてみましょう。意外と理解を示してくれることもあります。
子育て中の看護師におすすめの働き方
今の職場を辞めても、看護師としてのキャリアを完全に諦める必要はありません。子育てと両立しやすい働き方を選ぶことで、無理なく看護師を続けることができます。
ここでは、子育て中の看護師におすすめの働き方をいくつかご紹介します。
総合病院のパート・時短勤務で働く
総合病院の中には、パート勤務や時短勤務の制度が整っているところもあります。週3日勤務や1日6時間勤務など、自分のペースで働けるのが魅力です。
フルタイムに比べると収入は減りますが、家庭との両立がしやすくなります。また、ブランクを作らずに看護師としてのスキルを維持できるメリットもあります。
職場によっては、夜勤なしや土日休みなどの条件で働けるところもあるので、転職先を探す際には条件をしっかり確認しましょう。
クリニックで日勤のみの勤務に変える
クリニックや診療所は、基本的に日勤のみで夜勤がありません。診療時間が決まっているため、生活リズムが安定しやすいのが特徴です。
また、総合病院に比べて急患や急変が少ないため、精神的な負担も軽減されます。地域のクリニックであれば通勤時間も短く、子どもの急な体調不良にも対応しやすくなります。
ただし、給与は総合病院よりも低めになることが多いので、その点は事前に確認が必要です。
訪問看護・デイサービスなど家庭と両立しやすい職場へ転職する
訪問看護やデイサービスは、比較的時間の融通が利きやすい職場です。訪問看護では1日の訪問件数を調整できるため、子どもの送り迎えに合わせた働き方ができます。
デイサービスは日中のみの勤務で、夜勤がありません。利用者さんとゆっくり関われるため、急性期病棟とは違ったやりがいも感じられます。
どちらも比較的ゆったりとした雰囲気の職場が多く、子育て中のスタッフも多いため、理解が得られやすい環境です。
派遣・単発バイト・夜勤専従など柔軟な働き方を選ぶ
派遣看護師や単発のアルバイトは、自分の都合に合わせて働ける自由度の高い働き方です。「この日だけ働きたい」「週1回だけ」といった希望が叶えられます。
また、夫が休みの日だけ夜勤専従で働くという選択肢もあります。夜勤手当がつくため、少ない勤務日数でも収入を確保できます。
柔軟な働き方を選ぶことで、子育てと仕事のバランスを自分でコントロールできるようになります。

私は総合病院を退職した後、保健センターの看護師スタッフとして週2日だけ働くスタイルを選びました。子どもとの時間も大切にしながら、看護師としての仕事も続けられて、心に余裕が生まれましたよ。
辞めたい気持ちが強いときの行動ステップ
「もう限界」「今すぐにでも辞めたい」と強く感じているときは、感情だけで動くのではなく、冷静に行動するためのステップを踏むことが大切です。
まずは信頼できる人に相談する
一人で抱え込まず、信頼できる人に相談してみましょう。夫や家族、親しい友人、同じように子育てをしている看護師仲間など、話を聞いてもらうだけで気持ちが楽になることがあります。
また、職場の先輩や上司に相談することで、働き方の調整や部署異動など、具体的な解決策が見つかることもあります。
一人で悩んでいると視野が狭くなりがちですが、他者の意見を聞くことで新しい選択肢が見えてくることもあります。
退職を切り出す前に段取りを決める
退職を決意したら、感情的に伝えるのではなく、計画的に段取りを決めましょう。就業規則を確認して、退職の申し出はいつまでにすべきかをチェックします。
また、次の仕事を決めてから辞めるのか、一旦退職してから考えるのか、家計の状況も踏まえて判断しましょう。
退職理由は「一身上の都合」で十分ですが、上司には「家庭の事情で」といった形で伝えると理解を得やすくなります。
引き継ぎや有給休暇の消化についても、事前に確認しておくとスムーズです。
退職を伝えるタイミングや手続きについて詳しく知りたい方は、「失敗しない!看護師の退職の切り出し方5ステップ|気まずくならない伝え方とは?」も参考にしてください。
どうしてもつらい場合は退職代行も検討する
上司に退職を切り出すことが精神的に難しい、引き止めが強くて辞められない、職場の雰囲気が悪くて話せない…そんなときは、退職代行サービスの利用も一つの選択肢です。
退職代行サービスは、あなたの代わりに退職の意思を伝え、手続きを進めてくれます。直接対面する必要がないため、精神的な負担を大幅に軽減できます。
特に子育て中で時間的・精神的余裕がない場合、プロに任せることで安心して退職を進められます。
看護師向けの退職代行サービスについて詳しく知りたい方は、「【2025年】看護師向け退職代行サービスおすすめランキング9選!失敗しない選び方・比較・注意点」をご覧ください。
看護師を辞めても、また戻れる
「一度辞めたら、もう看護師には戻れないのでは?」と不安に思っている方もいるかもしれません。でも、安心してください。看護師の資格は一生ものであり、ブランクがあっても復帰することは十分可能です。
ブランクOKの求人が増えている
近年、看護師不足を背景に、ブランクがある看護師を積極的に受け入れる医療機関が増えています。復職支援研修やプリセプター制度を用意しているところも多く、ブランクがあっても安心して働き始められる環境が整ってきています。
日本看護協会の調査によると、看護師の約7割が一度は離職を経験しており、その多くが子育てを理由としています。つまり、ブランクがある看護師の復職は珍しいことではないのです。
「もう一度看護師として働きたい」と思ったとき、道は必ず開けます。
訪問看護や施設勤務など復帰しやすい職場も
病棟勤務に戻るのはハードルが高いと感じる場合は、訪問看護や介護施設、デイサービスなど、比較的ゆったりとした職場を選ぶのもおすすめです。
これらの職場では、急性期病棟ほどの医療処置の頻度は少なく、ブランクがあっても復帰しやすい環境です。また、夜勤がない職場も多いため、家庭との両立もしやすくなります。
自分のペースで徐々に看護師の仕事に慣れていくことができるので、無理なく復帰できます。
子育てが落ち着いたら再スタートも可能
今は子育てを最優先にして、子どもが小学校に上がったり、手がかからなくなったりしたタイミングで看護師に復帰するという選択肢もあります。
実際に、子どもが中学生になってから看護師に復帰したという方も多くいます。その間、看護の知識を忘れないように勉強会に参加したり、短期のアルバイトをしたりすることで、スムーズに復帰できます。
看護師という資格があるからこそ、人生のステージに合わせて柔軟にキャリアを選べるのです。
まとめ
子育てと看護師の仕事の両立がつらいと感じるのは、決してあなただけではありません。多くの看護師ママが同じように悩み、苦しんでいます。
「辞めたい」と思う気持ちは甘えではなく、自分と家族を守るための正当な感情です。無理を続けて心身を壊してしまう前に、立ち止まって考える勇気を持ちましょう。
辞めるという選択肢だけでなく、働き方を変える、一時的に離れる、復帰のタイミングを見計らうなど、さまざまな道があります。
今のあなたにとって一番大切なのは、自分と家族の幸せです。罪悪感を手放して、自分らしい選択をしてください。
そして、どんな選択をしても、看護師という資格はあなたの強みとして残り続けます。子育てが落ち着いたとき、また看護師として活躍する日が来るかもしれません。
今は焦らず、一歩ずつ前に進んでいきましょう。

どんな選択をしても、あなたは素晴らしい看護師であり、素晴らしいお母さんです。自分を大切にしてくださいね。
もし退職を決意したけれど、どう伝えればいいか分からない、引き止められるのが怖いという方は、退職代行サービスも検討してみてください。あなたの新しい一歩を、しっかりとサポートしてくれますよ。
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Wrote this article この記事を書いた人
ぽー
看護師・保健師・養護教諭資格あり。 転職経験は3回で、現在はフリーランスとして活動中です。急性期から退院支援、外来などさまざまな部署で看護の仕事をしてきました。 子育てと仕事との両立に悩み、ライフステージの変化に応じて働き方を変えていった経緯があります。 働き方に悩む看護師が、より自分らしく働くために役立つ情報を発信していきます。