夜勤ができない看護師は退職すべき?辞める前に考えたい働き方と選択肢

夜勤ができない看護師は退職すべき?辞める前に考えたい働き方と選択肢
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「夜勤がつらい」「夜勤で体調を崩す」という悩みを抱える看護師は少なくありません。

しかし、多くの医療機関では「看護師は夜勤ができて当たり前」という考えが根強く、夜勤ができないことで退職を考える方もいるでしょう。

実は夜勤なしでも看護師として活躍できる道はたくさんあります。

この記事では、夜勤ができない看護師のための選択肢や、今の職場で夜勤免除を相談する方法、転職先の選び方などを紹介します。

目次 Outline

夜勤ができない…それでも看護師として働き続けたい

看護師にとって夜勤は避けて通れない道と思われがちですが、夜勤がつらいと感じることは決して珍しくありません。

体調不良や家庭の事情など、様々な理由で夜勤が難しくなる時期があるものです。そんな時、看護師としてのキャリアを続けるにはどうすればよいのでしょうか。

夜勤がつらいのは甘えじゃない。体と心のサインを受け止めよう

「夜勤がつらいなんて甘えている」「みんな頑張っているのに自分だけ…」と自分を責めてしまう方も多いでしょう。しかし、夜勤に対する体の反応は人それぞれ異なります。

夜勤後に回復に時間がかかる、睡眠の質が著しく低下する、体調不良が続くなどの症状は、体からの重要なサインです。睡眠障害や自律神経の乱れなど、夜勤による健康への影響は医学的にも認められています。

また、育児や介護との両立、持病の管理など、ライフステージによって夜勤の負担は変化します。特に30代以降は、20代の頃よりも夜勤からの回復に時間がかかるようになると感じる方も多いようです。

ぽー

ぽー

私は看護師4年目で、夜勤のたびに頭痛やめまいに悩まされるようになりました。体の声を無視して頑張りすぎると、体調を崩してしまうことにもつながります。

退職を決める前に、自分の希望や状況を整理しよう

夜勤がつらい場合、退職を考える前に、自分の状況を整理してみましょう。

まず、夜勤がつらい具体的な理由は何でしょうか。単に疲れるだけなのか、体調不良を起こすのか、家庭との両立が難しいのか、理由を明確にすることで対策も見えてきます。

次に、今の職場の良い点は何でしょうか。
人間関係、通勤時間、やりがい、給与など、現在の職場の満足度を客観的に評価してみてください。夜勤以外に不満がなければ、夜勤免除の相談をする価値はあります。

また、将来のキャリアプランも考慮することが大切です。短期的な問題なのか、長期的に夜勤なしの環境を探すべきなのか、自分のキャリア目標に照らし合わせて考えてみましょう。

「夜勤ができない=看護師を辞める」という考えは、選択肢を狭めてしまいます。看護師として働き続けるための様々な可能性を探ることから始めましょう。

今の職場で夜勤を免除してもらうことはできる?

夜勤がつらいと感じたとき、まず考えたいのは今の職場で夜勤免除が可能かどうかです。

夜勤免除が認められやすいのは、医学的な理由がある場合です。診断書を提出することで夜勤が免除される可能性があります。

また妊娠中は、多くの病院で夜勤免除の対象となります。妊娠がわかった時点で産婦人科医の診断書を提出し、上司に相談するのが一般的です。

出産後の育児期間中も、子どもの年齢や状況によっては夜勤免除が認められることがあります。

ただし、診断書があれば必ず夜勤免除が認められるわけではありません。病院の方針や人員状況によって対応は異なりますので、まずは上司や看護部に相談してみることが大切です。

職場の理解を得るには?伝え方のポイント

夜勤免除を相談する際は、伝え方も重要です。

まず、事前に上司や所属長との個別面談の時間を設けましょう。プライバシーが保たれる環境で落ち着いて話し合うことが大切です。

相談の際は、単に「夜勤がつらい」ではなく、どのような症状が出ているのか、それによって業務にどのような影響があるのかを具体的に伝えましょう。可能であれば診断書や医師の意見書を用意しておくと説得力が増します。

また、自分なりの解決策や代替案を提案することも効果的です。例えば、「日勤の業務量を増やす」「教育係や委員会活動に積極的に参加する」など、夜勤以外の面で貢献できる方法を示すことで、前向きな印象を与えられます。

直属の上司に理解が得られない場合は、看護部長や人事部など、病院内の他の相談窓口に話を聞いてもらうことも検討しましょう。

ぽー

ぽー

私が夜勤免除の相談をする時は、冷静に自分の状況を説明しました。しっかりと上司に伝わり、「シフトが組める範囲で」を条件に「日勤と遅出のみ」の勤務形態にしてもらえました。

退職の切り出し方については、こちらの記事も参考にしてみてください。「関連記事:失敗しない!看護師の退職の切り出し方5ステップ|気まずくならない伝え方とは?

夜勤免除が難しい職場の特徴とその理由

残念ながら、すべての職場で夜勤免除が認められるわけではありません。

慢性的な人員不足に悩む職場では、夜勤要員の確保が最優先となるため、個人の事情に対応する余裕がない場合があります。特に地方の中小病院や、離職率の高い職場ではこの傾向が強いでしょう。

また、「正社員は夜勤あり」と明確に雇用条件を定めている職場では、契約上の問題として夜勤免除が認められないこともあります。

夜勤免除の交渉が難しい場合は、日勤のみの部署への異動を打診するか、最終的には転職を検討する必要があるかもしれません。

夜勤なしで働ける!看護師の転職先と働き方

現在の職場で夜勤免除が難しい場合、日勤のみで働ける職場への転職を考えることになります。自分のライフスタイルや希望に合わせて選べるよう、様々な選択肢を見ていきましょう。

日勤のみの職場①|クリニックは家庭との両立に最適

クリニック(診療所)は、日勤のみで働ける代表的な職場です。一般的に平日の診療時間内のみの勤務となるため、夜勤はありません。土日祝日も休みであることが多く、家庭との両立を図りたい方に人気です。

クリニックでの看護師業務は、外来診療の補助が中心となります。病院と比べると急変対応は少なく、業務内容も比較的予測しやすいため、体力的な負担も軽減されます。

ただし、クリニックは規模が小さいため人間関係の影響が大きく、相性が重要に。また、病院と比べると給与水準が低いことが多い点は考慮しておく必要があるでしょう。

日勤のみの職場②|健診センターはルーティン業務で体の負担が少ない

健診センターも、日勤のみで働ける人気の職場です。健康診断や人間ドックの実施をサポートする業務が中心となり、夜勤はありません。

健診センターの大きな特徴は、業務内容が比較的ルーティン化されていることです。予約制で進行するため、緊急対応が少なく、計画的に仕事を進められます。

また、対象は基本的に健康な方なので、重症患者のケアといった身体的・精神的負担も少ないでしょう。

一方、健診センターの勤務には単調さを感じる方もいます。繁忙期と閑散期の差が大きく、特に企業健診の多い時期は非常に忙しくなる点も覚えておきましょう。

日勤のみの職場③|デイサービス・デイケアは高齢者とのふれあいが魅力

介護保険サービスの一つであるデイサービスやデイケアも、看護師が活躍できる日勤のみの職場です。

看護師の主な業務は、利用者の健康管理や服薬管理、簡単な処置などです。医療行為は限定的で、介護スタッフと協力しながら利用者の生活をサポートする役割が中心です。

病院と比べると医療的なスキルを使う機会は少なくなるため、その点は考慮する必要があります。

日勤のみの職場④|訪問看護はスケジュール管理がしやすく自立性も高い

訪問看護ステーションは、利用者の自宅を訪問してケアを提供するサービスです。基本的に日勤のみですが、一部、24時間対応の施設ではオンコール体制がある場合もあります。

訪問看護の特徴は、スケジュール管理がしやすく、自立して働ける点です。1日の訪問件数や順番は基本的に事前に決まっているため、計画的に業務を進められます。

また、利用者一人ひとりにじっくりと関わり、個別性の高いケアを提供できる点にやりがいを感じる方も多いでしょう。

ただし、一人で訪問するケースが多く判断力や対応力が求められること、移動による身体的負担があることなどは考慮すべき点です。

子育て中の方に人気|保育園・幼稚園看護師という選択肢

保育園や幼稚園に勤務する看護師も、日勤のみで働ける選択肢のひとつです。保育施設では、子どもたちの健康管理や応急処置、感染症対策などを担当します。

保育園看護師の最大の魅力は、子どもたちの健やかな成長に関われることでしょう。また土日祝日が休みの施設が多く、夏休みなどの長期休暇がある幼稚園も多いため、自分の子育てとの両立もしやすい環境です。

病院勤務と比べると医療的な処置は少なくなりますが、子どもが好きな方にとっては、毎日の笑顔や成長を間近で見られる喜びも大きい仕事です。

医療現場以外でも活躍|企業・コールセンターなどの看護師職

看護師の資格や知識は、企業や医療系コールセンターなど、医療現場以外でも活用できます。

企業の健康管理室では、従業員の健康診断の管理や健康相談、メンタルヘルスケアなどを担当します。一般的に平日の日勤のみの勤務で、福利厚生が充実している点も魅力です。

医療系コールセンターでは、患者さんや医療機関からの問い合わせに対応します。医療知識を活かしながら、電話やメールでの相談業務を行うため、体力的な負担が少ない点がメリットです。

これらの職場につくと、医療現場を離れることになるため、臨床スキルを維持するのが難しくなる点は考慮する必要があるでしょう。

柔軟に働きたい人に|派遣・パート・時短勤務という働き方

働き方自体を変えることで、夜勤なしの環境を選ぶこともできます。派遣やパート、時短勤務などは、勤務時間や日数などを比較的自由に選択できるため、柔軟な働き方が可能です。

ただし、派遣やパートでの働き方はワークライフバランスを重視できる反面、給与や福利厚生が正社員と比べて少ない場合があります。

また、責任ある立場や専門性の高いポジションに就きにくい傾向もあるため、自分のキャリア目標と照らし合わせて選択することが大切です。

給料は下がる?収入とのバランスをどう考えるか

夜勤なしの働き方を選ぶと、多くの場合は収入の減少を伴います。夜勤手当がなくなるだけでなく、日勤のみの職場は病院よりも給与水準が低いことが多いためです。

たとえば1回10,000の夜勤手当つく職場であれば、月4回の夜勤で40,000円、年間で48万円の差が生じることになります。

しかし、収入だけで判断するのではなく、総合的な視点で考えることが重要です。夜勤による体調不良で休職や離職をするリスク、将来的な健康への投資、精神的な充実感など、お金には換算できない価値も考慮しましょう。

また、収入減少への対策として、美容クリニックなど給与水準の高い職場を探す、キャリアアップを目指す、副業と両立するなどの選択肢もあります。

自分の健康と幸福感、家庭生活とのバランス、キャリア目標などを総合的に考慮して判断することが大切です。「今は収入が減っても、長く働き続けられる環境を選ぶ」という考え方も、長期的には賢明な選択かもしれません。

ぽー

ぽー

子育て中は夜勤をしていませんが、副業の医療ライターを始めることで収入面でのバランスを取れるようになってきました。お金だけでなく、時間や健康というリソースも大切だと実感しています。

夜勤がつらくて退職を考えたときにすべきこと

夜勤の負担から退職を考えるとき、円満に職場を去るためには準備が必要です。また、退職の意思を伝えた後の対応も重要になってきます。

円満に辞めるために必要な準備とは?

退職を決断したら、計画的に準備を進めましょう。

最初に、就業規則を確認することが大切です。退職の意思表示の時期に関しては、職場によってルールは異なります。退職までのスケジュールを立てる際の基準になるので、必ずチェックしましょう。

次に、退職理由を整理します。上司との面談では「夜勤の負担が大きい」という本音を伝えつつも、建設的な表現を心がけましょう。

可能であれば、退職前に次の職場を確保しておくことで、収入の空白期間を作らずにキャリアを継続できます。特に夜勤なしの職場は人気が高いため、早めの行動が大切です。

辞めると決めたらやるべきこと|引き継ぎ・有給・書類など

退職の意思を伝えた後は、実務的な手続きを進めていく必要があります。

退職届の提出や有給休暇の消化、健康保険や年金の切り替え手続きなどは計画的に行いましょう。退職後に必要となる書類(離職票、源泉徴収票など)の発行を依頼しておくことも大切です。

また、引き継ぎの準備も忘れずに行います。担当患者の情報をまとめたり、係や委員会の書類を整理したりと、後任者がスムーズに業務を引き継げるよう配慮することで、職場への感謝の気持ちを示せます。

最後に、お世話になった同僚や上司へのお礼も忘れずに。長く一緒に働いた仲間との良好な関係を維持することは、将来的にも大切です。小さな心配りが、円満退職につながります。

こちらの記事では、退職時のメッセージカードの書き方を紹介しています。「参考記事:看護師退職時のメッセージカード|感謝を伝える例文&書き方ガイド

ぽー

ぽー

私は最初に勤めた病院を辞める際に有休消化ができず、40日分を泣く泣く捨てることになりました…
余裕を持って、計画的に準備を進めましょう!

退職を引き止められたらどうする?対応のコツ

退職の意思を伝えると、特に人手不足が深刻な医療現場では、強く引き止められることも少なくありません。

そのような状況では、冷静さを保つことが何よりも大切です。感情的になって対立してしまうと、その後の引き継ぎや職場の雰囲気が悪くなってしまいます。深呼吸をして、落ち着いた態度で話を聞きましょう。

「夜勤の回数を減らす」「部署異動を検討する」など条件改善の提案があった場合は、その場で即答せず、「検討させてください」と時間をもらい、冷静に判断します。

どうしても引き止めが強く、精神的な負担が大きい場合は、退職代行サービスの利用も選択肢のひとつです。

退職代行サービスは、本人に代わって退職の意思を伝えてくれるサービスで、直接の対面を避けたい場合に有効です。費用はかかりますが、精神的な負担を軽減できる点でメリットがあります。「参考記事:【2025年】看護師向け退職代行サービスおすすめランキング9選!失敗しない選び方・比較・注意点

夜勤ができなくても、自分らしく働ける場所はある

夜勤がつらくて退職を考えるとき、多くの看護師が自分を責めたり、看護師としてのキャリアに不安を感じたりしがちです。

しかし、夜勤ができなくても、自分らしく看護師として活躍できる道はたくさんあります。そして何より、心身ともに健康であることが、良質な看護を提供するための基盤です。

自分自身の健康を大切にすることは、看護師としての責任でもあります。夜勤の負担から解放されることで、仕事へのモチベーションや集中力が高まり、より質の高いケアを提供できるようになることもあるのです。

ぽー

ぽー

私は夜勤をやめて体調が安定し、仕事とプライベートのバランスが取れたことで、看護師を続けられる自信がつきました。夜勤ができなくても、看護師としての道は広がっています。皆さんも自分に合った働き方を見つけてくださいね。

Wrote this article この記事を書いた人

ぽー

ぽー

看護師・保健師・養護教諭資格あり。 転職経験は3回で、現在はフリーランスとして活動中です。急性期から退院支援、外来などさまざまな部署で看護の仕事をしてきました。 子育てと仕事との両立に悩み、ライフステージの変化に応じて働き方を変えていった経緯があります。 働き方に悩む看護師が、より自分らしく働くために役立つ情報を発信していきます。

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