
育休明けに復帰したものの、「子育てとの両立が思っていたより大変」「この働き方を続けるのは無理かも」と感じていませんか?
「育休をもらったのにすぐ辞めるなんて非常識?」「同僚に迷惑をかけてしまう」と罪悪感を抱いている看護師さんも多いでしょう。
実は、育休明けに退職を考える看護師さんは決して珍しくありません。子育てという新しい生活が始まり、働き方を見直したいと思うのは当然のことです。
この記事では、育休明け退職に対する罪悪感を和らげるとともに、円満に退職するための方法や、退職後の新しい働き方について詳しく解説します。
看護師が育休明けに退職を考えるのは珍しくない
育休から復帰してみたものの、「想像していたより大変」「このまま続けられるか不安」と感じている方は、決してあなただけではありません。
育休明けに退職を考える背景には、以下のような現実があります。
まず、育休前と復帰後では生活環境が大きく変わります。子どもの世話、保育園の送迎、夜泣きによる睡眠不足など、想像以上に体力と時間を消耗する日々が続きます。
また、職場の環境や人間関係も変化している場合があります。同僚が異動していたり、新しいシステムが導入されていたりと、復帰時に戸惑うことも少なくありません。
育休明け退職に罪悪感を抱く人が多い
「育休をもらったのに恩を仇で返すような気がする」「同僚に負担をかけてしまう」そんな風に自分を責めていませんか?
確かに、日本の職場文化では「育休後は復帰して当然」という雰囲気があることも事実です。しかし、育休は労働者の権利であり、復帰後の働き方についても、あなた自身が決める権利があります。
大切なのは、あなたと家族にとって最適な選択をすること。無理を続けて体調を崩したり、家庭生活に支障が出たりしては、本末転倒になってしまいます。
実際には珍しいことではない
看護師の育休明け退職は、実は珍しいケースではありません。
看護師は夜勤や残業が多く、小さな子どもを抱えながらの勤務は想像以上に困難です。また、急変対応や命に関わる責任の重さから、「集中力が続かない」「ミスが怖い」という不安を抱える方も多いのです。
さらに、保育園の迎え時間に間に合わない、子どもが熱を出した時の対応など、子育てと両立するための制度が十分に整っていない職場も少なくありません。
こうした現状を踏まえ、多くの看護師さんが「今は家族を優先したい」「別の働き方を探したい」と考えるのは、とても自然なことなのです。
働き方と子育ての現実とのギャップ
育休前は「復帰後も頑張れる」と思っていたものの、実際に始まってみると想像以上に大変だったという声をよく聞きます。
妊娠・出産・育休を経て体力が落ちている中で、立ち仕事中心の看護業務は想像以上にきつく感じられます。また、夜泣きや授乳で睡眠不足の状態での夜勤は、安全面でも不安が大きくなります。
また、子どものことが気になって仕事に集中できない、急に熱を出した時の対応で迷惑をかけてしまう不安、時間に追われる毎日でイライラしてしまうなど、心の余裕がなくなってしまうケースも多いです。
育休明けに退職を考える主な理由
育休から復帰してみて初めて気づく現実がたくさんあります。ここでは、多くの看護師さんが育休明け退職を考える具体的な理由を見ていきましょう。
子育てと仕事の両立が難しい
最も多い理由が、子育てと仕事の両立の困難さです。
朝は子どもを保育園に送ってから出勤し、夕方はお迎えに間に合うように帰宅する。その後は夕食の準備、お風呂、寝かしつけと休む暇がありません。夜中に子どもが泣けば睡眠不足のまま翌日の勤務に向かうことになります。
また、子どもが熱を出したり体調を崩したりすると、急な休みを取らざるを得ません。「またお迎え要請の電話がかかってくるのでは」という不安を抱えながら働くのは、想像以上にストレスが大きいものです。
時短勤務やシフトの柔軟性がない
多くの看護師さんが期待している時短勤務制度ですが、実際には利用が困難な職場も少なくありません。
看護師は24時間体制のシフト勤務が基本のため、時短勤務を取り入れることが困難な場合があります。また、人手不足の現場では「時短の人がいると他のスタッフにしわ寄せが」という雰囲気があることも事実です。
シフトの融通も思うようにききません。保育園の迎え時間に間に合うよう早番を希望しても、「スタッフが足りない」という理由で遅番や夜勤を組まれてしまうケースもあります。
こうした制度や環境の制約により、「子育てしながらでは働きづらい」と感じて退職を考える方が多いのが現状です。
夜勤や残業が体力的に厳しい
育休前は何ともなかった夜勤や残業も、出産・育休を経た体には想像以上に負担となります。
特に夜勤は、授乳や夜泣きで睡眠リズムが不規則になっている体には厳しいものです。また、家族の協力が得られない場合、夜勤中の子どもの世話をどうするかという問題もあります。
残業についても、保育園のお迎え時間があるため以前のようには対応できません。しかし、看護師の仕事は患者さんの容態によって時間通りに終わらないことも多く、「残業できない申し訳なさ」を感じてしまう方も少なくありません。

私も復帰当初は、帰宅後に家事と子どものことに追われ、本当にきつかったです。「このままでは家族にも迷惑をかけてしまう」と思い、働き方を見直すことにしました。
保育園・家庭の事情
保育園関連の事情も、退職を考える大きな要因となります。
保育園の空きがなかなか見つからず、復帰予定日に間に合わないケースがあります。また、せっかく入園できても、保育園の開園時間と勤務時間が合わないという問題もあります。
延長保育を利用すれば時間的には対応できますが、子どもが小さいうちは長時間の保育に罪悪感を感じる親も多いものです。「もっと子どもと過ごす時間を作りたい」という思いから、退職を選択する方もいらっしゃいます。
また、祖父母などの家族サポートが期待できない場合、子どもが熱を出すたびに仕事を休まなければならず、職場に申し訳ない気持ちが募っていきます。
人間関係や職場の変化
育休中に職場の人間関係や環境が変わっていて、復帰時に戸惑うケースも多くあります。
同僚が異動や退職していて、新しい人間関係を築き直さなければならない状況や、新しいシステムや業務手順が導入されていて、ついていくのが大変というケースもあります。
また、育休取得に対して理解のない同僚がいたり、「育休でゆっくりしてきたんだから頑張って」というプレッシャーを感じたりすることもあります。
こうした職場環境の変化により、以前のように働くことが困難だと感じて退職を考える方も少なくありません。
育休明け退職の伝え方とタイミング
退職を決意したら、次に考えるのは「いつ」「どのように」伝えるかということです。円満退職のためには、タイミングと伝え方が重要になります。
退職を伝えるベストなタイミングは「復帰前〜復帰後すぐ」
育休明け退職の最適なタイミングは、復帰前の面談時、または復帰後できるだけ早いタイミングです。
理想的なのは、復帰前の面談で相談することです。正直に悩みを話し、「継続が困難かもしれない」という相談から始めることで、職場側も対応を検討しやすくなります。
復帰後に退職を決意した場合も、できるだけ早めに相談することが大切です。遅くとも復帰から1〜2ヶ月以内には意思を伝えるようにしましょう。
早めに伝えることで、後任の確保や業務調整もスムーズに行えます。また、職場側も「急に言われて困った」という印象を持ちにくくなります。
円満退職につながる伝え方の工夫
退職を伝える際は、感情的にならず、冷静に理由を説明することが大切です。
まず、これまでお世話になったことへの感謝の気持ちを伝えることから始めましょう。「これまでサポートしていただき、本当にありがとうございました」という感謝の言葉があることで、相手も話を聞く姿勢になりやすくなります。
退職理由については、具体的かつ正直に説明することが重要です。「子育てとの両立が想像以上に困難で、現在の勤務体制では家族に負担をかけてしまう」「体力的に厳しく、患者さんに十分なケアを提供できない不安がある」など、相手が理解しやすい理由を挙げましょう。
また、退職時期についても相談ベースで話すことが大切です。「○月頃の退職を希望していますが、引き継ぎ等を考慮して調整させていただければ」という姿勢を示すことで、協力的な印象を与えることができます。
避けたいNGな伝え方
退職を伝える際に避けたい伝え方についても理解しておきましょう。
まず、突然の退職通告は絶対に避けましょう。「明日から来ません」「今月末で辞めます」といった急な申し出は、職場に大きな迷惑をかけるだけでなく、あなたの評判も損ないます。
また、感情的な表現も控えめにしましょう。「もう限界です」「続けられません」といった感情的な言葉は、相手を困惑させてしまいます。冷静に、具体的な理由を説明することが大切です。
退職の切り出し方について詳しく知りたい方は、「失敗しない!看護師の退職の切り出し方5ステップ|気まずくならない伝え方とは?」も参考にしてください。
よく使われる退職理由
育休明け退職でよく使われる退職理由をご紹介します。これらは実際に多くの方が抱えている悩みでもあります。
家庭の事情に関する理由としては、以下が挙げられます。
- 子育てと仕事の両立が想像以上に困難
- 家族のサポートが得られず、現在の勤務形態では継続が難しい
- 子どもの体調が不安定で、頻繁に休むことになり職場に迷惑をかけてしまう
- 睡眠不足が続き、安全な看護提供に不安がある
- 一旦家庭に専念し、将来的に復職を検討したい
正直に、そして具体的に説明することで、職場の理解も得やすくなるでしょう。
退職理由の伝え方については、「看護師が退職でトラブルに巻き込まれたら?引き止め・嫌がらせの対処法」でも詳しく解説しています。
育休明けに退職したあとの働き方
退職を決めたあとは、今後どのように働いていくかを考える必要があります。看護師の資格を活かしながら、子育てとの両立がしやすい働き方はたくさんあります。
総合病院でパートや時短勤務として働く
現在の職場を退職した後も、看護師として病院で働き続けたい場合は、パートや時短勤務という選択肢があります。
総合病院でのパート勤務では、勤務日数や時間を調整しやすいメリットがあります。週2〜3日の勤務や、日勤のみの勤務など、家庭の事情に合わせて働くことが可能です。
また、時短正職員として復職できる病院もあります。フルタイムより短い時間での勤務で、正職員としての待遇を受けられる制度です。
総合病院で働くメリットとしては、看護技術を維持できること、チーム医療に参加できること、将来的にフルタイム復帰がしやすいことなどが挙げられます。
クリニック勤務で日勤のみで働く
クリニック勤務は、子育て中の看護師に人気の選択肢の一つです。多くのクリニックが日勤のみの勤務で、夜勤や休日出勤がないため、家庭との両立がしやすくなります。
内科や小児科、皮膚科など、比較的落ち着いた診療科のクリニックでは、急変対応も少なく、精神的な負担も軽減できます。また、規模が小さいため、休暇の調整なども相談しやすい環境があります。
美容クリニックや健診クリニックなどでは、時給も比較的高く設定されている場合が多く、短時間でも効率よく収入を得ることができます。
訪問看護や施設看護で働く
訪問看護は、利用者の自宅を訪問してケアを提供する仕事で、子育て中の看護師にとって働きやすい職場の一つです。
訪問看護の多くは日勤帯での業務で、夜勤がありません。また、直行直帰が可能な事業所も多く、通勤時間を短縮できるメリットがあります。
1対1でのケアが中心となるため、じっくりと利用者と向き合うことができ、やりがいを感じやすい職場でもあります。また、パートタイムでの募集も多く、家庭の事情に合わせて勤務日数を調整しやすいのも魅力です。
老人ホームやデイサービスなどの施設看護も、比較的ゆったりとした環境で働けることが多いです。医療処置は限定的で、利用者の生活支援が中心となるため、プレッシャーも軽減されます。

友人が訪問看護で働いていましたが、利用者さんと1対1でじっくり向き合えることにとてもやりがいを感じていました。直行直帰ができるので、子どものお迎えにも間に合いやすく、働きやすいと話していました。
派遣や単発バイトで柔軟に働く
より柔軟な働き方を求める場合は、派遣看護師や単発のアルバイトという選択肢もあります。
派遣や単発バイトは時給が高めに設定されていることが多く、短時間でも効率よく収入を得られます。また、様々な職場を経験することで、将来的な転職の参考にもなります。
ただし、雇用の安定性に欠ける面があることや、福利厚生が充実していない場合があることは理解しておく必要があります。
在宅ワークで看護以外の働き方を選ぶ
看護師の経験を活かした在宅ワークという新しい働き方も注目されています。
医療関連の記事執筆やコンテンツ作成、オンライン健康相談など、看護師の専門知識を活かせる在宅の仕事が増えています。
また、医療系企業でのリモートワークや、治験コーディネーター(CRC)などの職種では、在宅勤務が可能な場合もあります。
在宅ワークの最大のメリットは、通勤時間がないこと、子どもの体調不良時にも対応しやすいこと、自分のペースで働けることです。
どうしても退職を言い出せないときは退職代行も選択肢に
退職の意思は固まったものの、職場への申し出がどうしても難しい場合は、退職代行サービスの利用も検討してみましょう。
退職代行を利用するメリット
退職代行サービスを利用することで、直接的な精神的負担を大幅に軽減できます。
まず、上司との直接対決を避けることができます。「育休をもらったのに恩知らず」といった厳しい言葉を言われる心配がなく、精神的なダメージを受けることなく退職手続きを進められます。
確実に退職できるという安心感も大きなメリットです。引き止めに合って退職を先延ばしにされる心配がなく、決めたタイミングで確実に退職することができます。
また、有給休暇の消化や退職に関する交渉も、代行してくれる場合があります。自分では言いにくい条件面の交渉も、プロが適切に行ってくれるため、より有利な条件で退職できる可能性があります。
退職代行を利用するデメリット
一方で、退職代行を利用することにはデメリットもあります。
まず、費用がかかります。サービスによって異なりますが、ある程度の費用が必要になります。家計に負担をかけたくない場合は、慎重に検討する必要があります。
職場との関係が完全に断たれてしまうことも考慮すべき点です。将来的にその職場に復帰したい場合や、同業界での転職を考えている場合、印象が悪くなる可能性があります。
退職代行が向いているケース
上司からのハラスメントがあり、直接話すことが困難な場合は退職代行を選ぶとよいでしょう。育休取得に対して否定的な言動があったり、復帰後に嫌がらせを受けたりしている場合は、退職代行を利用することで身を守ることができます。
精神的に追い詰められており、退職を伝えることすら困難な状況の場合も、退職代行が有効です。うつ病や適応障害などの症状がある場合は、無理をせずプロのサポートを受けることが大切です。
退職代行について詳しく知りたい方は、看護師向け退職代行サービスおすすめランキングも参考にしてください。
まとめ
育休明けの退職は決して「非常識」なことではありません。子育てという新しいライフステージに合わせて働き方を見直すことは、とても自然な選択です。
重要なのは、退職を伝える際のタイミングと方法です。できるだけ早めに相談し、感謝の気持ちを込めて丁寧に説明することで、円満な退職を実現できます。
もし退職を伝えることがどうしても困難な場合は、退職代行サービスという選択肢もあります。あなたの心身の健康と家族の幸せを最優先に考え、無理をしない選択をすることが大切です。

新しいステージでの充実した毎日を応援しています。
\ 次に読みたい記事はこちら /
▼どうしても退職を言い出せない方へ
【2025年】看護師向け退職代行サービスおすすめランキング9選!失敗しない選び方・比較・注意点
▼育休明け退職で気をつけたいお菓子のマナー
【看護師退職】おすすめのお菓子7選と渡し方のマナー|失敗しない選び方ガイド
▼退職を決める前の最終チェックリスト
【後悔したくない人必見】看護師が退職を決める前に知っておくべき5つのこと
▼退職後の転職活動に備えて
看護師の退職理由ランキング10選|円満退職できるコツを解説【2025年】
Wrote this article この記事を書いた人
ぽー
看護師・保健師・養護教諭資格あり。 転職経験は3回で、現在はフリーランスとして活動中です。急性期から退院支援、外来などさまざまな部署で看護の仕事をしてきました。 子育てと仕事との両立に悩み、ライフステージの変化に応じて働き方を変えていった経緯があります。 働き方に悩む看護師が、より自分らしく働くために役立つ情報を発信していきます。