
「退職代行サービスを使うなんて、クズだ」「直接言えないなんて、社会人として甘えている」
退職代行サービスは、その手軽さゆえに、こうした厳しい意見にさらされることがあります。しかし、本当にそうなのでしょうか?
この記事では、「退職代行はクズ」と言われる背景にある理由と、サービスを利用せざるを得ない人たちが抱えている深刻な悩みについて、多角的な視点から解説します。
「退職代行はクズ」と言われる3つの理由
退職代行サービスが否定的に見られる背景には、主に以下の3つの理由が考えられます。
直接対話から逃げていると思われがち
「自分の口で辞めると伝えるのが筋だ」「社会人としての責任感がない」といった、伝統的な価値観を持つ人から批判されることがあります。
直接対話から逃げているように見えることが、批判の最大の原因です。
「クズ」という言葉の裏にある「甘え」という感情
「これくらいのことで辞めるなんて甘えている」「私たちの若い頃はもっと厳しかった」といった、自身の経験と比べて非難する人がいます。
これは、現代の労働環境の変化を理解していない場合に見られる感情です。
会社に迷惑をかけるという罪悪感
退職代行を利用することで、会社や同僚に迷惑をかけるのではないかという罪悪感を、利用者自身が感じているケースも少なくありません。
この罪悪感が、周囲の批判的な意見と結びついてしまうことがあります。
退職代行を利用する人が抱える本当の悩み
退職代行を利用する人は、決して「甘え」や「怠け心」から安易に決断しているわけではありません。その背景には、一人で解決できない深刻な悩みが隠されています。
- パワハラ・セクハラ
上司からのパワハラやセクハラが原因で、精神的に追い詰められ、直接顔を合わせることや電話で話すことすら苦痛に感じるようになっているケース。退職代行は、加害者と一切関わらずに退職できる唯一の手段となることがあります。
- 精神的な不調
激務や人間関係のストレスで、心身のバランスを崩し、うつ病などの診断を受けているケース。自力で退職手続きを進めることが難しい状況にあるため、代行サービスに頼らざるを得ないのです。
- 強烈な引き止め
「人手不足だから辞めないでくれ」「君が辞めたら仕事が回らない」といった強烈な引き止めにあい、退職を何度も先延ばしにされてしまうケース。退職代行は、こうした不当な引き止めから身を守るための有効な手段です。
会社側から見た退職代行のメリット・デメリット
「クズ」という批判は、利用者だけでなく、会社側にも向けられます。しかし、退職代行には会社側にとっても一定のメリットとデメリットがあります。
メリット
- 円滑な退職手続き▶︎感情的な対立を避け、事務的に退職手続きを進められます。
- リスク回避▶︎感情的なトラブルやハラスメント問題への発展を防ぐことができます。
デメリット
- 信頼関係の喪失▶︎職場の信頼関係が失われていると見なされる可能性があります。
- 人手不足の深刻化▶︎退職代行を容認する姿勢が、さらなる離職を招く可能性も指摘されています。
まとめ:退職代行は「クズ」ではない
退職代行サービスは、「甘え」や「クズ」と安易に片付けられるものではありません。
そこには、ブラック企業やハラスメントなど、個人の力では解決が難しい現代社会の闇が映し出されています。退職代行は、そうした状況から抜け出し、心身の健康を守るための「最終手段」として利用されているのです。
もしあなたが今、退職代行を検討しているなら、自分を責める必要はありません。一人で抱え込まず、まずは無料相談などを利用して、あなたの状況を話してみることから始めてみましょう。
Wrote this article この記事を書いた人

あゆ
元ナース・保健師のあゆ。 元看護師・保健師で、転職5回を経て現在はフリーランスとして活動中! 看護師として働く中で、悩み続けて1年かけて退職した経験があります。その過程で、退職を切り出す難しさや、退職後のキャリアへの不安を痛感しました。 『ナースの退職お悩み相談室』では、退職を考える看護師の方々に役立つ情報や、退職代行サービスの活用法、退職後のキャリアプランなどを発信しています。皆さんが一歩踏み出すお手伝いができれば嬉しいです。