失敗しない!看護師の退職の切り出し方5ステップ|気まずくならない伝え方とは?

失敗しない!看護師の退職の切り出し方5ステップ|気まずくならない伝え方とは?
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看護師として日々の業務に励む中で、キャリアチェンジやライフスタイルの変化など、様々な理由から「退職」という選択肢を考えることがあります。

しかし、いざ退職を決意しても、 「お世話になった職場だから、どう切り出せばいいんだろう…」 「師長や同僚に申し訳ない気持ちでいっぱい…」 「もし強く引き止められたら、うまく断れるかな…」 といった不安や気まずさから、なかなか一歩を踏み出せない…そんな悩みを抱えている看護師の方は、実は少なくありません。

退職は、あなたの人生にとって大きな決断です。だからこそ、伝え方で失敗してしまったり、気まずい雰囲気になって後味の悪い思いをしたりするのは避けたいですよね。

この記事では、「失敗せずに、できるだけ円満に退職したい」「気まずくならずに、スムーズに話を切り出したい」と考えているあなたのために、看護師が退職をスムーズに切り出すための具体的な方法を「5つのステップ」に分けて、分かりやすく解説していきます。

一つ一つのステップを丁寧に踏むことで、お世話になった職場への感謝や配慮を示しながら、あなた自身も気持ちよく次のステージへ進むための準備をすることができます。お互いが納得できる「円満退職」は、けっして不可能ではありません。

さあ、この記事を読んで、気まずさを乗り越え、円満退職への第一歩を踏み出しましょう。

【ステップ1:準備】伝える前に「決意」と「情報」を固める

看護師が退職を切り出すとき、最初のステップである「準備」は、失敗や気まずさを防ぐための最重要ポイントです。

準備が不十分だと自信のなさが伝わり、交渉の余地を与えたり、話が長引いてしまう原因になります。

しっかりと決意と情報を固めておくことで、落ち着いて誠実に伝えることができ、円満退職への第一歩となります。

退職意思の最終確認

まず、自分の退職の意思が本当に固まっているかを再確認しましょう。

「一時的な感情」や「その場の勢い」で決めていないか、冷静に考えることが大切です。

また、退職後のプランとして転職先や生活設計があると、より強い意思を示せますが、必須ではありません。とはいえ、自分の将来についてある程度イメージしておくと、話し合いの際にも自信を持って臨めます。

就業規則のチェックは必須!

退職を伝える前に、必ず職場の「就業規則」を確認しましょう。

多くの医療機関では「退職の申し出は〇ヶ月前までに」といったルールがあります。これを守らないと、トラブルや引き止めの原因になりかねません。

また、退職届の書式や提出方法も事前に確認しておきましょう。一般的には「一身上の都合により、〇月〇日をもって退職いたしたく…」といった形式的な文面で十分です。理由を詳しく書く必要はありません。

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希望退職日を決める

就業規則の期限を踏まえ、具体的な退職希望日を決めておきましょう。例えば、「退職の1ヶ月前までに申し出る」と規定されていれば、逆算して最短の退職日を設定します。

もし、有給休暇が残っている場合は、その消化日数も考慮し、上司と相談しながら最終出社日と退職日を決めるとスムーズです。

《気まずくならないPoint》

準備不足は「迷い」や「自信のなさ」と受け取られやすく、相手に交渉の余地を与えてしまいます。しっかりと情報を整理し、必要な書類やスケジュールを把握したうえで臨むことで、落ち着いて話せるだけでなく、誠実な印象を与えられます。

このステップを丁寧に行うことで、「どう伝えればいいのか…」という不安や気まずさを最小限にし、次のステップである「アポ取り」や「切り出し」にも自信を持って進むことができます。

【ステップ2:アポ取り】上司と「1対1」で話す場を確保する

退職をスムーズに進めるためには、上司との面談を事前に調整することが不可欠です。突然の申し出は相手に混乱を与え、引き止めやトラブルの原因になりかねません。

慎重な準備と適切な伝え方で、真剣な意思を伝える場を設けましょう。

最初に伝える相手は「直属の上司」

看護師の場合、師長や主任など「直接評価・管理する上司」に最初に伝えるのが基本です。

同僚に先に話すと噂が広まり、人間関係に支障をきたす可能性があります。特に師長は多忙なため、院内メールやチャットで事前にアポを取る方法が効果的です。

アポイントメントの取り方(例文付き)

メールや電話で依頼する際は、目的を明かさず「相談ごと」と表現するのが無難です。

▼メール例▼

件名:少々お時間頂けますでしょうか?
本文

◯◯師長
お疲れ様です。△△です。

少々ご相談したいことがあり、10~15分ほどお時間を頂けませんでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご都合の良い日時をご指定いただけますと幸いです。

電話の場合は「退職」という言葉を使わず、「重要なご相談」と伝えると相手が心の準備をしやすくなります。

時間と場所を選ぶ

以下のポイントを意識して選びましょう。


・ タイミング:夜勤明けや業務ピーク時は避け、週の前半(月~水)の午前中がベター
・ 場所:個室やドアのある部屋をリクエスト(立ち話やナースステーションはNG)
・ 代替案:リモート環境ならビデオ通話を活用(電話のみは避ける)

《気まずくならないPoint》

「相談」と前置きすることで、相手に心理的余裕を与えられます
日程調整時に「3つの候補日」を提示すると、相手の負担を軽減できます。
例:「来週月曜10時/水曜15時/金曜9時で可能な時間帯はありますか?」

【ステップ3:切り出し】感謝と共に「結論」から明確に伝える

退職を伝える場面で最も重要なのは「曖昧さを排除する」ことです。

看護師の業務はチーム連携が命。意思表示が不明確だと引き継ぎや人員配置に支障をきたし、職場全体に迷惑をかけるリスクがあります。結論ファーストの伝え方で、信頼を損なわずに退職の意思を貫きましょう。

感謝の言葉から入る

面談開始時は必ず「お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えましょう。

看護師長は多忙なため、時間を割いてもらったことへの配慮が信頼関係を維持する鍵です。ただし、長すぎる前置きは逆効果。1~2文程度に収めます。

▼例文▼

「師長、本日は貴重なお時間を頂きありがとうございます。
この度、一身上の都合により、〇月〇日をもって退職させていただきたくご報告申し上げます」

「退職の意思」と「希望日」をはっきりと

看護現場では「伝えたつもり」が重大なミスを生むため、以下の要素を必ず盛り込みます。

  1. 結論ファースト:最初の30秒で退職意思を表明
  2. 具体日付:「〇月〇日」と西暦・和暦を明記(「来月いっぱい」はNG)
  3. 定型表現:「一身上の都合」という表現で個人事情であることを示す
▼NG例▼

「転職を考えていて…」「もう限界で…」→感情的な表現はトラブルの元

相談ではなく「報告」のスタンスで

「迷っているのですが…」「アドバイスを頂きたい」といった相談口調は、引き止めや条件提示の余地を与えます。看護師長が人員調整を始めるためにも、決意が固まっていることを明確に伝えましょう。

▼効果的な言い回し▼

「ご迷惑をおかけしますが、決断した内容ですのでご理解いただけますと幸いです」
「引き継ぎには最大限の協力をさせていただきます」

《気まずくならないPoint》

「3つの断言」で曖昧さを排除

  1. 日付断言:「〇月〇日」と伝えた後、日付を繰り返さない(迷いを感じさせない)
  2. 理由の簡潔化:詳細説明は求められてから(基本は「一身上の都合」で完結)
  3. 未来志向:退職後のことより「残りの期間どう貢献するか」に言及

例:「最終日まで責任を持って業務にあたりますので、引き継ぎ方法などご指示ください」

看護師としてのプロ意識を示すことで、たとえ驚かれたとしても、真摯な姿勢が相手の理解を得やすくします。

【ステップ4:理由説明】聞かれたら「簡潔・ポジティブ」に

退職理由の説明は、職場との関係を最後まで良好に保つための最重要ポイントです。

看護師はチームワークが命の職業。ネガティブな発言が伝わると、残るスタッフの士気低下や人間関係の悪化を招く可能性があります。相手の質問に応じつつ、前向きな表現でスマートに切り抜ける技術を身につけましょう。

退職理由は正直に言うべき?

基本のスタンスは、以下を参考にしてください。

  • 「一身上の都合」で十分(法的にも問題ない表現)
  • 詳細を求められた場合のみ、事前に準備した「ポジティブ理由」を伝える
  • 看護師に適した理由例
    • 「専門分野を深めるため、〇〇認定看護師課程に挑戦したい」
    • 「家庭の事情で勤務形態を変える必要が生じました」
    • 「新しい医療現場でスキルを広げたい」
▼NG回答▼

「人間関係がきつくて…」「夜勤が体力的に…」→愚痴と受け取られるリスク大

ネガティブな理由は伝えない方が無難

たとえ事実であっても、以下の理由は極力避けましょう。

  1. 職場批判:「人手不足がひどい」「教育体制が不十分」
  2. 個人攻撃:「〇〇さんとの相性が…」
  3. 待遇不満:「給与が低すぎる」「休みが取れない」

代わりに「未来志向」の表現に変換しましょう。

▼変換例▼

×「夜勤が体力的に厳しい」
○「ワークライフバランスを見直す時期が来たと感じています」

聞かれたことに、簡潔に答える

看護師長が深掘りしてきた場合の対応法は、以下を参考にしてください。

  1. 「3行ルール」:1理由につき3行以内で説明
  2. 具体例を添える:「母の介護が必要になり、自宅近くで働くことにしました」
  3. 質問返しで切り替え:「引き継ぎで特に注意すべき点はありますか?」
▼会話例▼

師長:「なぜ辞めるのか本当の理由を聞かせて」
→「この5年間で学んだことを活かし、在宅医療の分野に挑戦したいと考えています。師長には大変お世話になりました」

《気まずくならないPoint》

「3つのマイルール」で自己防衛

  1. 時間マイルール:理由説明は2分以内
  2. 感情マイルール:過去の不満より「未来の目標」を語る
  3. 情報マイルール:転職先の詳細は伝えない(「医療機関」程度が無難)

:「キャリアの幅を広げるため、新しい環境で挑戦したいと考えています」

看護師としての倫理観を示しつつ、個人の意思を尊重してもらうバランスが重要です。どうしても突っ込まれた場合は「プライベートな事情」と伝え、それ以上は話さない姿勢で統一しましょう。

【ステップ5:着地点】引き止め対応と「円満な引き継ぎ」の意思表示

退職の意思が伝わった後の対応は、人間関係を維持しつつスムーズに職場を離れるための最終関門です。

看護師の退職はチーム全体に影響を与えるため、引き止めや感情的な反応が起きやすい状況。冷静な対応と協力的な姿勢で、信頼を損なわずに最終日を迎える技術が求められます。

引き止められた場合の対応方法

基本原則として、「感謝→意思確認→協力姿勢」の3段構えで対応することが大切です。

具体例

「大切なタイミングで引き止めてくださり感謝します。しかし今回の決断は変わりません。最後まで責任を持って引継ぎを行います」

条件提示への対処法として、以下を参考にしてください。

  1. 即答を避ける:「検討させてください」と伝え、1~2日間の猶予をもらう
  2. 書面での提示を求める:口約束ではなく条件を文書化してもらう
  3. 第三者を交える:人事部や労務担当者が同席する場を設定

退職届の提出・今後の流れを確認

退職届を出すタイミングは非常に重要です。

  • 速やかな提出:面談後3日以内が理想(記憶が鮮明なうちに)
  • 複数部作成:受領印をもらうため原本+コピーを準備
退職届の記載例

令和〇年〇月〇日

◯◯病院 看護部長 ◯◯ ◯◯ 殿
△△ △△

私こと、このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたしたくお願い申し上げます。

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最終日まで責任を持つ姿勢を示す

看護師特有の配慮ポイントは以下の3つです。

  • 患者引き継ぎリスト:受け持ち患者の状態・注意点を文書化
  • 業務マニュアル更新:独自のナレッジをチームで共有可能な形に
  • 引き継ぎスケジュール表:退職日までの計画を可視化
▼効果的な表現▼

「夜勤帯の引き継ぎポイントをマニュアルにまとめました。必要に応じて加筆修正してください」
「急な休みに対応できるよう、代替要員の連絡先リストを作成しています」

《気まずくならないPoint》

3つの見える化」で信頼を構築

  1. 進捗見える化:週次で引継ぎ状況を報告
  2. 貢献見える化:退職までに達成する目標を設定(例:新人教育1名完了)
  3. 感情見える化:「寂しくなりますが、最後まで全力でサポートします」と口頭で伝達

:「引き継ぎチェックリストを作成しました。進捗は毎週金曜日に報告します」

まとめ:5ステップで気まずさを乗り越え、円満退職へ

看護師の退職は、単なる個人の決断ではなくチーム医療に影響を与える重大な意思表示です。しかし、適切な準備と伝え方の技術があれば、気まずさを最小限に抑えながら次のステージへ進むことが可能です。

成功のカギは3つ

  1. 情報武装:就業規則の徹底確認と退職日シミュレーション
  2. 伝達技術:結論ファースト+ポジティブ理由の事前準備
  3. 関係性維持:退職後を見据えた丁寧な引継ぎ

「辞める」という決断が、これまでのキャリアを否定するものではないことを自覚しましょう。

むしろ、責任ある引き継ぎと誠実な対応が、未来の人間関係を築く基盤になります。5つのステップを着実に踏むことで、看護師としてのプロフェッショナリズムを最後まで示せるはずです。

Wrote this article この記事を書いた人

あゆ

元ナース・保健師のあゆ。 元看護師・保健師で、転職5回を経て現在はフリーランスとして活動中! 看護師として働く中で、悩み続けて1年かけて退職した経験があります。その過程で、退職を切り出す難しさや、退職後のキャリアへの不安を痛感しました。 『ナースの退職お悩み相談室』では、退職を考える看護師の方々に役立つ情報や、退職代行サービスの活用法、退職後のキャリアプランなどを発信しています。皆さんが一歩踏み出すお手伝いができれば嬉しいです。

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